秋ですね~。
最近、クラシック音楽がなんだかとっても好きになってきました。
ちょっと勉強してみようと思って、「クラシック音楽全史」(ダイヤモンド社)という本を読みました。
著者の松田亜有子さんは、東京フィルハーモニー交響楽団広報渉外部部長をなさっている方。松田さんの、音楽への深い愛情と造詣を感じる本です。面白いです!
この本で私が気に入ったのは、バロック時代から現代にいたるまでの著名な音楽家について、彼らの音楽の特徴や哲学とともに、それぞれの人生について書かれていること。
それぞれの音楽家が産み出す音楽と同様、人生もドラマチックです。
中でも私が「おお~!」と思ったのは、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732~1809)の人生。
彼が生きた時代は、音楽が貴族や王様のものから市民のものになっていく端境期です。
この環境が、彼の人生をドラマチックにしていると思いました。
彼は若いころ非常に苦労して音楽を勉強し、努力の結果、29歳でハンガリーのエステルハージ侯爵家の宮廷音楽家という職をつかみ取りました。
宮廷音楽家の仕事は、仕えた主人のためだけに音楽を作って提供すること。
ハイドンは主人のためだけに、30年間で約1000もの曲を作りました。
いうなれば、忠実で優秀な社員、といったところでしょうかね。
宮廷音楽家は、決められた服装をし(かつらもかぶり!)、主人が命じる音楽だけを作り、許可なしに他人のために音楽を作ったり、旅行に行くことすらも禁じられていたそうです。
雇用や待遇は安定しているけれども、自由はなかったんですね。
クリエイティビティの塊のような音楽家にとって、自由がないことや限られた対象のためだけに仕事をすることは、悲しく辛いことでもあったようです(生活の安定は保証されているとはいえ…)。そんな嘆きを綴った手紙も残っているようです。
約30年間、宮仕えをしていたハイドンでしたが、59歳の時に宮廷楽団が解散となり、晴れて自由の身となります。
ここからハイドンは、水を得た魚のように大活躍を始めます。
体と魂の自由を得たことが活力になったんでしょうね。
亡くなるまでの19年間、ロンドンやウィーンで精力的に活動し、貴族やブルジョア市民の熱狂的な支持を得て、音楽家としての不動の地位を確立していきます。
どれだけ有名になっても高い地位を得ても、これまでお世話になった人たちへの感謝の気持ちをずっと持ち続け、慈善コンサートを開いて寄付金を集めたりもしていたんですって。
他者への思いが深いところも素敵な人だなあ…と思います。
人生の後半で大きく舵が切られた彼の生き方、これからの私たちにも参考にできるんじゃないかな~と思いました。勇気をもらいました。
ハイドンのような才能はなくても、ささやかかもしれないけれども、できることや好きなことは、誰にでもあります。
人生の後半戦、それを存分に生かして、自分を生かすことでやりがいを持てて、人様のためにも何かいいことができる、そんな活動ができたらいいなあと思っています。
それを応援したいなと思っているのが、ダブリンワークショップなのかもしれません。
<参考図書>
(ひゅうちゃん)