先日、約10年前に支援をしていた学生さんから、突然メールをいただきました。
彼は、とても印象に残っている学生さんのひとり。
といいますのも、就活支援の途中から「新卒での就職をしない」という決断をするまで、彼に伴走したからなんです。
4年生の秋から就活の支援をしていましたが、ある日突然、「実は、ある芸術の道に進みたいんです…」と打ち明けられました。
周囲とはあまりに異なる進路選択に、親御さんからの激しい反対にあったり、ご自身のなかにも「本当にこれでいいのか」という葛藤を抱えられて、悩み抜かれた方でした。
かかわっているあいだじゅう、本当に心配でした。
具体的にどんな話をしたのかは覚えていません。
でも、「どんな決断をするにせよ、大変で辛いかもしれないけれど親御さんともちゃんと話して、彼自身が心から納得して、進路を決めてほしいなあ…」と思いながら、そんな彼にどんなふうに伴走したらいいか私自身も悩みながら、一緒に進んできたことは覚えています。
結果的に彼は、自分の力で親御さんの理解も勝ち取り、晴れやかな顔で芸術の道に踏み出していかれました。
その後、「どうしたかなあ…」と折に触れて思い出していたんですが、一切連絡はなく…。
そんな彼から、突然メールが来たんです(前置きが長いですね(笑))。
「突然どうしたんだろう、なにごとだろう」と思いました。
ドキドキしながらメールを読んでみたら、
進まれた芸術の道でこの秋大きな転機があり、そのタイミングで、「今の自分に至る分岐点に出会った」ひゅ~ちゃんのことを思い出してくださったとのこと。
うれしいじゃないですか…。
さらに、
「私が一番覚えているのは、失意のどん底のような状態の私に、朝メールで『今日はお天気ですね。日光が気持ちいいですね』みたいな、何気ない文章を送ってくださったことです。その時私は、見守ってもらえているんだなあと、本当に救われる思いでした」
って書いてくださっていました(私は全然覚えてないんですけどね(笑))。
この文章を読んだときに、「ああ、私の基本スタンスって、ずっと前からこれなんだな~」って再認識させていただいた気がしました。
一番大切なのは、つんつん…つんつん…って刺激をしながら、その方ご自身の中から答えが出るのを待つことだ、って思ってるんですね、たぶんひゅ~ちゃんは。
禅語で言ったら、啐啄同時(そったくどうじ)っていうのかなあ。
「そつ」は、雛が内側から卵の殻をつつくこと。
「たく」は、親鳥が外側から殻ををつつくこと。
親鳥として大事なのは、雛のペースに合わせて、雛の自発性を応援するように、外から刺激すること。
何気ないように見えて、タイミングも内容も、ちゃんと意図されている刺激。
相手にとって、一番いいタイミング、内容になるような刺激。
それが大切なんだろうな。
難しいですね。つねに目指していくべき命題だな。
個人の支援でも、ワークショップのようなグループ活動においても、改めて心に刻んでいきたいと思いました。
Fくん、ありがとうね~。
(ひゅ~ちゃん)